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までドウゾ!

モノの機能とそのデザインとは、表裏一体の存在であると認識するのが、現代の工業デザイナーの普通の思考パターンであることは言うまでもありません。
ここら辺のお話はデザイン雑誌AXISで、「よもすがらモノ思う心」というカラデザイン論を連載していますので、機会があったらご一読ください。
つまり「機械」のデザインは「合目的に明快なデザイン」がその根幹になっていて、そういうデザインは歴史に残る名作である、という伝説は、バウハウスからの伝統とも言えます。

クラシックカメラの存在が、非常に安定した物質的背景に裏打ちされていて、そういう優れたデザインの工業製品を手に取った我々は「時間の永遠性」をそこに感じるわけで、この秘密が、つまり「1930年代のライカは信頼できる」けど「2004年のデジタルカメラはそのデザインに信用が置けない」ということになり、ここにカメラデザインの普遍論が構築されるわけです。
つまり、そういうデザイン重視のカメラ選別の地平では、すでにデジタルとかアナログのカメラの区別は存在せず、言い換えれば、使用に便利であるのか否かは不問に付されてしまい、そのデザインの存在感がどれだけ「デザインの永遠性」に肉薄しているかが、唯一問われる問題点であり、価値観になるわけです。

今回、半月ほど中国に仕事に行って、さきほど北京から戻ってきたわけですが、仕事は最新モデルの超シャープで小型で軽量なリコーキャプリオRXというデジカメがメーン機材で、これはもともとあまりに小型で、我々が60年代に憧れていた、いわゆる「プロ機材のうっとりするような金属感覚」というものは、もとよりそこに求めることは出来ません。
そんなことは無いモノねだりであることを知っている私は、実際にそのカメラで中国を撮影するという意味ではなく、ライカM2にライカビットMPを装着したカメラを、「遊び用」に持参したのでした。
「見せ金」ならぬ「見せライカ」というわけですが、同行のスタッフにもそんなことは漏らしていませんから、誰も私がライカビット付きのライカを「隠し持って」いたことなどは知りません。
それは空港のセキュリテイの金属探知器のみが知るということでしょう。

仕事が終わって、ホテルに引き上げて、さてシャワーを浴びてから、くだんのライカビット付きのM2を取り出して、私はライカを夜の北京の不夜城めく燃え上がるスカイスクレーパーに向けて、数回シャッターをきってみます。
たったそれだけのことですが、これはすでにライカによる癒し等というお手軽路線ではなく、ライカを神格化しているという言い方が危ないのであれば、ライカを精神分析の道具に使用していると言うべきでしょうか。

今回のライカはM2の初期モデルのクロームで、そこにライカビットMP(クローム)が付いて、レンズは固定バレルのニッコール50ミリF3,5という渋い存在でしたが、これはもともと国産ライカコピー機、ニッカの一番安いボデイに付いていた、普及レンズでした。
ライカビットにしても、その大本のライカMPにしても、発売当時はまったく人気のなかった事実を思う時、それは当時のライカ人類の眼力が足りなかったのだ、などと簡単に結論づけてしまい勝ちですけど、事実、1960年代のライカ人類は、ライカビットMPなどには正しい見方をしていたと思います。
つまり、「あんな肥大した底ぶたは使い道がない!」

今回の広州と北京訪問で、一番ライカビットMPに似ている「現象」というのは、中国独特の輸送手段である三輪車に、荷物を山と積んで運んでいる中国の人たちを見て、何か「ライカビットで手巻きで高速撮影をしているライカ人類」を想い出してしまいました。
人間の仕事のパワーのインプットとアウトプットが1対1の力関係でそこに現出しているからです。
ライカビットMPの魅力は中国の三輪車に似ているとは、我ながら「不思議な発見」でありました。

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